2001/12/01 11:12:01 
改正「育児介護休業法」が成立  公明の主張を大きく反映―仕事と子育ての両立を支援 F.S 

改正点

仕事と育児・介護の両立支援を強化するため、改正育児介護休業法が平成13年11月9日の参議院本会議で可決、成立しました。

六つの主な改正ポイント
今回の改正点は公明党の主張を大きく反映したもので、下記の6点がポイントです。
(1) 育児休業などを理由に事業主による不利益な取り扱いの禁止
(2) 小学校入学前の子どもの養育や家族を介護する人への時間外労働の免除請求権
(3) 勤務時間の短縮となる子どもの対象年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げ
(4) 小学校入学前の子どもの看護休暇制度導入へ企業の努力義務
(5) 転勤は育児や介護の状況に配慮
(6) 仕事と家庭の両立についての意識啓発


施行日は平成14年4月1日からですが、(1)と(6)については11月16日からスタートしました。

1、育児休業などを理由に事業主の不利益な取り扱いの禁止
労働者が安心して育児・介護休業が取得できるように、これまでの「事業主は育児休業の申し出や取得を理由に『解雇』を禁止する」としていたものを、さらに「申し出や取得を理由に不利益な取り扱いを禁止する」ことにまで広げたことも大きな前進です。
育児休業の取得を理由にした配置転換や給料の減額、昇進などに関する不利益な対応が法律上、禁止されました。

2、小学校入学前の子どもの養育や家族を介護する人への時間外労働の免除請求権
小学校入学前の子どもや介護を必要とする家族を持つ労働者については、深夜労働の制限のほかに、1年間150時間、1カ月24時間を超える時間外労働の免除が請求できるようになります。

3、勤務時間の短縮となる子どもの対象年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げ
現行法では、1歳に満たない子どもを養育する親に短時間勤務制度やフレックスタイム制、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げなどの措置を講じる義務が課されていますが、今回の改正で「3歳未満に引き上げる」ことになりました。

4、小学校入学前の子どもの看護休暇制度導入へ企業の努力義務
今回の改正で特に画期的な点は、公明党が重点政策に盛り込むなど、一貫して実現を主張してきた「看護休暇制度」の導入です。
小学校入学前の子どもがケガをしたり急病の時などに、有給休暇とは別に特別休暇を取得できるよう、事業主に対して「看護のための休暇制度を導入するよう努めなければならない」と、努力義務を課しました。

5、転勤は育児や介護の状況に配慮
転勤についても「育児や介護の状況に配慮しなければならない」と規定しました。

6、仕事と家庭の両立についての意識啓発
国は、労働者の仕事と家庭の両立について意識啓発等を行う。

なお、今回の改正によって事業主にとって負担が増えることを踏まえ、厚生労働省の平成14年度予算概算要求には、「子ども看護休暇制度」を設けた事業主に対する「看護休暇制度導入奨励金制度」(仮称)や、短時間勤務等の措置に対する助成金などが盛り込まれています。


経 過
・ 少子化が進行する中、働きながら子どもを産み、育てやすい雇用環境の整備や、仕事と子育ての両立をめざした支援策の強化が急務の課題となっています。

・ そこで公明党は、野党時代だった1985年に初めて、他党に先駆けて独自の育児休業法案を国会に提出し、法制化を進めました。

・ その後、92年に育児休業制度が創設されました。
95年には、公明党の取り組みで創設されていた介護休業法も加えて一本化され、「育児介護休業法」となりました。
これにより、子どもが1歳未満の親は育児休業が取得できる権利が保証されるようになりました。
また休業取得者の社会保険料の本人負担分の支払い免除や、休業取得前賃金の一定割合を雇用保険から支給する「育児休業給付制度」を創設し、今年1月からは、育児休業給付金が取得前賃金の25%から40%に引き上げられるなど、支援策が強化されてきました。

・ しかし一方で、99年度の労働省調査によると、育児休業の取得者は、女性が56.4%、男性が0.42%にとどまっていることが判明。
取得できない最大の理由は、心理的な抵抗を感じさせる「職場の雰囲気」や、昇進や勤務評価への影響、上司や同僚への気兼ね、職場復帰後の不安などでした。こうしたことから、さらに踏み込んだ法整備が望まれ、今回の改正となりました。

・ 公明党は今後も、短時間勤務等の対象年齢を小学校入学前まで引き上げることや、「子ども看護休暇」を月1回(年12日)の「介護・子ども看護特別休暇制度」に拡充することなどをめざしています。

(「公明新聞」平成13年11月25日付「政治学習のために」をもとに抜粋まとめ )