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2013/04/27 
高齢者や障がい者など災害時の支援を迅速に 公明 他会派に呼び掛け推進 F.S 

政令市初 地域で個人情報共有へ条例 守秘義務、福祉避難所の整備も盛り込む

 災害時、自力で避難することが難しい高齢者や障がい者など、要援護者の支援をより円滑に進めるため、神戸市議会は先の市議会本会議で、議員提案による「神戸市災害時要援護者支援条例」を全会一致で可決し、今月から施行した。これは市が要援護者の個人情報を、防災や要援護者に関わる自治会などに提供できることなどを定めたもので、政令市としては全国初という。条例制定に向けて、市議会公明党(大澤和士幹事長)が一貫してリード役を担ってきた。

 この条例は主に、要援護者の個人情報の共有に関するルールや、支援の在り方について定めたもので、6章20条から構成される。

 条例では、市が要援護者本人の同意のもと、名前や住所などの個人情報を、要援護者を支援する自治会や自主防災組織などの団体に提供できることを明記している。

 要援護者の対象となるのは、要介護3以上や身体障害者手帳1、2級の人、65歳以上の単身の高齢者など。

 条例の最大の特徴は、対象となる要援護者に対し、市が個人情報の外部提供について同意を得る事前調査を行う際、回答が全く得られない、もしくは明らかに拒否していない回答の場合も「同意とみなす」と定めた点だ。

 これにより、地域で進められている要援護者の情報の把握・共有がスムーズにできるようになり、支援も網羅できる見通しがついた。

 同市では従来、個人情報保護条例により、災害などが起きなければ、個人情報を第三者に提供できないとされていた。このため、行政と地域が災害時に備えて事前に支援計画を策定する場合でも、同条例が“壁”となり、取り組みが進まないという課題があった。

 こうした実情を踏まえ、市議会公明党は一昨年夏以降、専門家を招いた勉強会や条例作成検討会を通じて、課題を克服するための条例の原案を作成。行政当局や他会派への説明会などを開いた上で、昨年11月の市議会本会議に条例案を4会派(公明、自民系2会派、民主)で共同提出し、今年2月の本会議で全会一致で可決していた。

 政策面における議員提案の条例制定は、神戸市議会として今回が初めて。

 大澤幹事長は「今後は条例の周知と、要援護者を含む災害時支援計画の策定に力を注ぎたい」と語っていた。

 なお、同条例には、地域団体が市と個人情報を共有する場合、守秘義務など情報管理に関する協定を結ぶことも規定。また、災害時の要援護者の避難所生活支援として、自家発電機や食料、薬品といった備蓄品の拡充など、「福祉避難所」の整備に市が努めるべきだとの内容も盛り込まれた。

−−「公明新聞」より転載−−−