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2018/06/08 
視覚障がい者 就労体験を発表 日本盲人会連合 神戸市でフォーラム F.S 

「視覚障害者雇用の未来を考えるフォーラム」(社会福祉法人日本盲人会連合主催)がこのほど、神戸市の市立神戸アイセンターで開催され、さまざまな分野で働く視覚障がい者20人による体験事例発表、関係者によるパネルディスカッションが大きな反響を広げた。
これには、就労支援を推進する立場から、公明党の沖久正留・神戸市議、中野洋昌衆院議員、伊藤孝江参院議員、山本恭子・伊丹市議が参加した。

■環境さえ整えば仕事できる
 体験発表では、公共機関や大学、一般企業など、多彩な職場で働く視覚障がい者20人が自身の病状や障がい、仕事における工夫、職場の協力体制、参加者へのメッセージなどを報告した。

 兵庫県宝塚市の女性は、大学時代から難病の網膜黄斑ジストロフィーの症状が進行。勤務先の製薬会社では、パソコンのモニターの文字を大きくして、広告の表現をチェックする作業に携わる。「光をまぶしく感じるので職場に相談し、端っこの暗い席で快適に仕事をしている」と語った。

 大阪府内の印刷会社に勤務する48歳の男性は4年前に脳腫瘍で目が急に悪くなり、現在、パソコンに音声ソフトを入れて仕事をしている様子を紹介。「当初は途方に暮れ、2年近く仕事を休んだ。でも、いろんな人からアドバイスをもらい、働き続けることができている」と述べた。

 このほか、「視覚障がいの私が教師をしていることが進路で悩む生徒の希望になっている」(高校教師)、「文字の拡大ソフト、音声読み上げソフトを使い、チャットでやりとりしながら在宅勤務している。周囲の協力と環境さえ整えば仕事ができると訴えたい」(コンピューター会社のエンジニア)などの報告もあった。

 パネルディスカッションでは、日本盲人会連合の竹下義樹会長、社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センターの岡田弥サービス部長らが「私はこうして働いているという実体験の情報があることが障がい者を勇気づけ、希望となる」などと意見を表明。また、障がい者の法定雇用率の引き上げ効果や視覚障がい者を雇う割合を決めるクオータ(割り当て)制導入の是非について、活発な意見交換が行われた。

 来賓あいさつに立った公明党の伊藤さんは、「障がい者の就労問題を正面から考え、皆さんの思いをしっかり聞きながら頑張りたい」と強調。中野氏は「フォーラムの熱気を感じた。衆院厚生労働委員会に所属しているので、国政の場でも支援に向けて後押ししたい」と述べた。

 最後に共催者の公益社団法人「NEXT VISION」理事で、眼科医の?橋政代さんは、「『何もできないのでは』という意識の壁をお互いが打ち破り、みんなの笑顔が輝く社会をつくりたい」と呼び掛けた。

−−「公明新聞」より転載−−−