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2021/12/10 
塾に通えない中学生へ学習支援 大学生が無料で個別指導 F.S 


地域団体に補助、企業が職業紹介する場も 神戸市
 親から子へ引き継がれる“貧困の連鎖”を断ち切るため、神戸市は10月から、大学生が中学生の勉強を無料で教える「学びへつなぐ地域型学習支援事業」を実施している。市議会公明党(壬生潤幹事長)はこのほど、支援事業の運営を担う社会福祉法人「丸」を訪れ、関係者から話を聞いた。

 地域で学習機会の場を提供し、経済的な事情で学習塾に通えない中学生を、進学や将来の就職へつなげるのが同事業の狙い。運営費は市が補助し、市の公募で決まったNPO法人と社会福祉法人の計4団体が東難、兵庫、須磨、垂水の各区で運営している。

 このうち垂水区文化センターで学習支援を行っているのが社会福祉法人「丸」だ。現在、中学校1〜3年生20人が登録。週1回の2時間半、ボランティアで講師をする大学生らが、学校の宿題や授業の不明点などを個別で教える。英語や数学を学ぶ中学3年生の女子生徒は、「勉強をする習慣がついてきた」と述べるとともに、「教えてくれる大学生とは年代が近いので質問しやすい」と語っていた。現在は、高校進学に向けて勉強に励んでいるという。

 一方、市はこの事業を通じて地域全体で子どもを支える気運づくりもめざす。市内で学習塾を展開する「創造学園」と連携協定を締結。教室運営のノウハウ提供や進路相談など地域団体をサポートしてもらう。

 また、市内の企業の社員が、自らの職業や進学後の経験などを語る講座も月1回、開催している。多様な価値観に触れる機会を中学生に提供することで、進路や就職のイメージを持ってもらうことが狙いだ。

 同法人の田中華代理事長は「地域住民を巻き込みながら、子どもの学習をサポートする場をつくっていきたい」と語っていた。

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 市議会公明党は、これまで予算要望を通じて子どもの貧困対策を推進。中でも、高瀬勝也市議は2013年6月定例会で、経済格差が子どもの人生に大きく影響するため、社会全体で支援する必要性を訴えていた。


−−「公明新聞」より転載−−−