緊急システム「ケアライン119」を拡充 高齢化の進展に対応
全国でも先進的な取り組み 他自治体へ波及も
「自宅の一般電話から緊急通報OK」――
兵庫県神戸市は10月から、高齢者や身障者のための緊急通報システム「ケアライン119」を大幅に拡充し、家庭の一般電話、災害公営住宅に設置されている「緊急押しボタン」からでも、通報ができるように改める。
「全国でも先進的な取り組み」(市消防局)で、増え続ける独居老人の安全対策に頭を抱える各地の自治体への波及も期待される。
現行の「ケアライン119」は、あらかじめ利用者の自宅に設置された緊急通報用のペンダント付き専用端末装置と、市消防局内の「受信センター」を繋ぐシステム。
専用端末装置がなければ、火災や転倒など、いざという時、通報はできなかった。
しかし、専用端末装置の設置には約10万円の経費がかかるという財政上の理由から、増え続けるひとり暮らしのお年寄りや社会的自立を図ろうとする身障者の同システム利用希望に、市当局が対応しきれないのが現状だった。
このため市消防局は、家庭用一般電話からも通報可能な新システムの開発に着手。
NTTが1998年からサービスを開始したナンバーディスプレイ(発信電話番号表示=注参照)機能を付加した受信方式を取り入れ、大幅な拡充を図ることにした。
これにより、昨年まで、申し込んでも専用端末装置を貸与されなかったお年寄りや身障者らは、10月から、家庭の一般電話から緊急時の通報が可能となる。
短縮機能付きの一般家庭電話が普及している現在、受信センターの電話番号を登録しておけば、短縮ボタンを押すだけで通報できる。
市消防局予防課は、「財政的な課題をクリアでき、希望者は原則として全員、利用してもらう方針」という。
また、95年の阪神大震災を機に設置された災害公営住宅の「緊急押しボタン」(市内に約6000戸)の通報先を、これまでの友人、親せきだけでなく、「ケアライン119」の受信センターにも通報できるよう設定する。
今年度は、450戸が対象で、急病の場合でも、救急車の到着がより迅速となるものと期待され、市民からは「大きな安心感が得られる」との声も。
市消防局は、8月1日から始めた同システムの募集を8月末で締め切り、10月1日から新方式でスタートさせる。
「ケアライン119」について市議会公明党(吉田謙治幹事長)は、毎年の予算要望で拡充を強く要望してきたほか、芦田賀津美議員らが、関連委員会などで「高齢化の進展で需要も増大する。安価な機器の開発の見込みはどうか」(2000年3月の予算特別委員会)など再三にわたって具体的な拡充策を求めてきた。
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(注)ナンバーディスプレイ: 電話をかけてきた相手の発信者番号を受信者が応答前に確認できるようにするNTTのサービス。
この機能を利用した神戸市の緊急通報システム「ケアライン119」では、受信センターのパソコンモニターに、家庭の一般電話から電話をかけてきたお年寄りの個人情報(あらかじめ登録)などが即座に表示され、対応が可能となる。
「ケアライン119」については、
「議員奮闘記」 2001/08/15 00:00:26
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−−−「公明NET」より転載−−−
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