2000/10/10 11:12:01 
神戸市がスタートさせた介護サービスの調査・評価システム F.S 

介護保険制度/注目されるサービス評価システム

『22項目の基準を設定し事業者 ヘルパー 利用者に聞き取り調査』
全国に先駆けて神戸市がスタートさせた介護サービスの調査・評価システムが各自治体から注目されている。
昨年九月定例会で市議会公明党(吉田謙治幹事長)が提案し、市は調査・評価を実施する第三者機関「介護保険評価委員会」を神戸市消費者協会(同市中央区)に設置。
同委員会は現在、本格的な調査活動に乗り出しており、十月下旬にも評価結果を公表する。
そこで、調査・評価から、利用者への情報提供・活用などの流れを追ってみた。

『調査方法と評価』
調査の対象となっている介護サービスは、「在宅」「施設」の二種類のうちの「在宅」部門。
十三あるサービスのうち、介護保険評価委員会は手始めに訪問介護(ホームヘルプ)サービスから調査を行っている。
今後、順次対象を拡大していく方針だ。

調査方法は、市の「介護保険サービス研究会」が示した二十二項目のチェックポイントを「サービス事業者」「ホームヘルパー」「利用者」の三者について聞き取り調査を実施。

評価は、調査結果から0〜9点までの平均点を出し、「◎」「○」「△」の三段階で総合評価を行う(◎は高い評価、△は低い評価)。

『結果の公表』
介護保険評価委員会は、この「調査・評価」をもとにした結果を公表し、サービス利用者に活用してもらう。

公表は、
市内の「えがおの窓口」(居宅介護支援事業者、二百八十一カ所)、
「あんしんすこやかセンター」(在宅介護支援センター、七十七カ所)
と、市消費者協会のホームページ上で行う。

これには、
(1)事業者内でのサービスの質の向上を図る仕組みが整っている
(2)苦情や相談にしっかり答えてくれる
――など五つの指標を設け、グラフなどを使って分かりやすく表示。
利用者へ迅速に情報を提供する。

『利用者の活用例』
サービス利用者は、提供された情報をもとに、より自分に適した事業者を選択できる仕組みだ。
例えば、一人暮らしで孤独を感じているお年寄りなら、「利用者とのコミュニケーションを大切にし、生活意欲を引き出す努力をしている」との指標が高い事業者を選び、契約を結び直すことが可能となる。
ケアマネジャーが、事業者の紹介などサポートを積極的に行うことになっている。

それぞれ千差万別の実情を抱えるに利用者にとって、最適のサービス提供先(事業者)を探すことができるのが、この評価システムの最大の特徴だ。

『今後の動き』
この評価システムは、サービス事業者に対し、単純に「良い」「悪い」というレッテルを張ることを目的としたものではなく、事業者の特質や相対的なバランスを計り、それを利用者に提供するものとなっている。
市介護保険課は「今後も見直しを重ねつつ、より分かりやすい基準、指標づくりを進めたい」と意欲を見せる。

介護保険制度がスタートして半年。
六十五歳以上の高齢者の保険料徴収が十月から始まり、利用者の介護サービスに対する意識はますます高くなるものと思われる。
兵庫県が来年度からの評価システム導入を検討するなど、各自治体も他都市の例を参考に、サービス充実への施策を模索し始めている。

−−−「公明新聞」より転載−−−