少額の分割払いなど可能に--阪神大震災 被災者の負担を軽減
厚生省は一日までに、阪神・淡路大震災の被災者の多くが利用している「災害援護資金貸付制度」(以下、災害援護資金と略す)の返済方法を大幅に緩和する方針を固めました。
返済の意思がある利用者であれば、本来は年払いまたは半年払いとなっている返済方法について、少額の分割払いを可能とし、月払いも導入します。
規定の返済期間を超えても違約金を取らないというものです。
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災害援護資金は、災害による全半壊世帯や、世帯主が一カ月以上の負傷をした世帯などを対象に、最高三百五十万円を貸し付ける制度です。返済期間は十年で、最初の五年間は、無利子の支払い猶予期間となっています。
利息は三%。財源は国が三分の二、県(神戸市は市)が三分の一を負担しています。
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厚生省が固めた具体的な緩和策は
(1)半年、または一年ごとの返済に加え、月払い返済も取り入れる
(2)返済意思があれば少額返済方式を導入し、十年の返済期間を超えても違約金を課さない
(3)支払い猶予の対象に、著しい生活困窮などの経済的理由も含む
――など。
これに伴い、被災自治体から国への返還金の期限についても、弾力的に取り扱われることになります。
この返済方法の緩和が適用になるか否かは、利用者の個々のケースについて、窓口となる被災市町村が判断する(厚生省)としています。
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兵庫県内での災害援護資金の利用状況は、今年三月現在で約五万七千件、総額約千三百億円に上っています。
一九九五年一月の阪神・淡路大震災から五年余を経た現在、順次、一回目の返済期限を迎えています。
しかし、被災者の中には、長引く景気低迷で今も厳しい生活を強いられている人や、健康上の問題を抱えている人が少なくありません。
また、災害援護資金は、その多くが生活費の赤字を補う目的で使われているのが実情です。
そこで、利用者からは「もう少し一回の返済額を小さくしてもらいたい」「支払いまで猶予がほしい」との切実な声が上がっていました。
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こうした実情を市民相談などでキャッチした神戸市議会公明党は昨年九月、神戸市議会の他の与党会派と共同で、神戸市に対し、返済条件の緩和を国に働き掛けるよう要望しました。
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また、赤羽かずよし衆院議員(衆院選予定候補=兵庫2区)は、今年二月の衆院予算委員会で災害援護資金の返済条件の緩和を訴え、また但馬久美参院議員(災害対策特別委員長)も厚生省に対し、被災者支援として、利用者の事情に応じた弾力的な運用を粘り強く要望してきました。
これら公明党の国会・地方議員の連携プレーが大きな原動力となり、返済方法の緩和への道が開かれることになりました。
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