音楽療法士として認定されるには、歌唱や演奏など音楽技術はもちろん、福祉、医学、心理学などの専門知識が必要となる。
音楽療法士は人間の心を診るスペシャリスト(専門家)であるからだ。
兵庫県の養成講座は、音楽療法に関する基礎知識を学ぶ「基礎講座」 (20時間)と、音楽療法の実践に必要な専門知識・技術を総合的に学ぶ「専門講座」 (3分野200時間)に分かれる。
同講座を運営する財団法人・兵庫県ヒューマンケア研究機構によると、対象者は県内在住・在勤者で2種類以上の楽器(歌唱を含む)が演奏できる人。
定員は50人だが、毎年、希望者は定員をはるかに上回る。
昨年1月の基礎講座申込者数は482人を数え、抽選で50人程度に絞られた。
基礎講座修了者は専門講座へと進む。専門講座は、
▽音楽療法実践論(70時間)
▽関連科学(80時間)
▽音楽療法実技(70時間)
で構成。
講師には、音楽大学教授や県立病院小児科部長、臨床心理士・日本音楽療法学会認定療法士など多彩な顔触れがそろう。
音楽療法実践論では乳幼児期から児童、青少年、成人、高齢期までの各年代ごとの実践事例などを学習。
関連科学では医学、健康、障害、福祉、心理学などに関する基礎知識を習得。
音楽療法実技では、実際に歌唱や楽譜を用いた模擬セッションなどを行う。
専門講座を修了した人は兵庫県音楽療法士補となる。そして、福祉施設などで実践経験(週1回、3カ月間)を積んだ後、県の認定審査に臨む。
これに合格すれば、晴れて県公認の音楽療法士となる。
一方、音楽療法士の養成・認定を行う全国組織として日本音楽療法学会(日野原重明会長)がある。その関連について山口敏男・同研究機構教務課長は、「兵庫県音楽療法士になれば、学会での認定に必要な1000ポイントのうち300ポイント程度が認められる」と語る。
都道府県レベルで音楽療法士の認定制度を導入しているのは、今のところ岐阜、兵庫の両県だけ。しかし、音楽療法士を養成・認定しようという動きは全国の自治体に広がりつつある。
自治体の積極的な取り組みが音楽療法の普及・啓発を前進させ、国の資格認定制度の実現を後押ししていくことは間違いない。全国をリードする兵庫県の事例が注目されている。
−−−「公明新聞」より転載−−−
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