2003/01/14  Up
注目集める 世界初の燃料電池発電プラント 神戸ポートアイランド

 限りある資源の有効利用を進める 循環型社会形成推進基本法

「リサイクル」が社会の潮流に
 3月末までに、具体化への「基本計画」策定
  家電、食品分野など個別製品の再利用化も着々と


地球環境保全や限りある資源の有効利用への意識が高まる中で、高度経済成長時代に染み込んだ大量生産・大量消費・大量廃棄という浪費型社会からの脱却が求められている。公明党は再利用、再使用を活用することでごみの量を減らす「ごみ・ゼロ」を掲げ、循環型社会構築に向けた「循環型社会形成推進基本法」の制定をはじめ、関連する法律の整備を強力に推進。これによってリサイクルシステムが社会に定着しつつある。

発端−− 大量生産・消費の転換迫られる
戦後日本の経済成長を支えてきたのは大量生産、大量消費の社会システムと国民の生活様式だった。それは半面、資源の大量消費と大量の廃棄物を生み出すことでもあった。このツケとして、1990年代後半に入ると各地のごみ処分場の多くが満杯状態に陥っただけでなく、埋め立てられた廃棄物からは有害物質が地中に漏れ出すなど、深刻な環境破壊も招いた。

こうした大量消費、大量廃棄の社会システムに対しては、すでに80年代から疑問を指摘する声が上がり、空き缶や使用済み乾電池の分別回収が多くの自治体で行われるようになった。また、家庭などから出される生ごみを有効利用するため、たい肥として活用するコンポストの導入も急速に進むなど、製造者、消費者双方の意識変化が出始めた。

再利用、再資源化の動きに合わせ、国も91年に製品製造元の企業に対し、ごみの減量化、再資源化を促進することを求める「再生資源利用促進法」を制定。しかし、本格的な循環型社会への転換には、社会全体で取り組むための総合的な法整備が不可欠となった。

行動−− 公明の連立参加で法整備が急進展
公明党は、1970年代から環境問題、リサイクル対策を政策の重要な柱に位置づけた。75年には党内に廃棄物・資源リサイクル問題プロジェクトチームを設置し、「資源リサイクル社会の実現への基本政策」を発表するとともに、リサイクル法制定を提案した。

循環型社会実現への具体的な動きは、公明党の政権参加によって大きく加速。
99年9月、連立政権に向けた公明党と自民党の政策協議で
(1)2000年度を循環型社会元年と位置づけ、施策を推進する
(2)リサイクル社会への基本的枠組みとして循環型社会法を制定する
――ことが合意された。

この合意に基づき、与党内に「環境施策に関するプロジェクトチーム」が設置され、この中で公明党は独自の「循環型社会形成推進法案」をたたき台として提出。与党内の強力な推進力となって法整備に全力で取り組んだ。

その後、与党で「循環型社会形成推進基本法案」をまとめ、00年6月に成立させた。併せて、「建設リサイクル法」「食品リサイクル法」「改正廃棄物処理法」「資源有効利用促進法」「グリーン購入法」といった循環型社会構築には欠くことのできない個別法も次々と整備した。

そしていま
公明党が一貫して主張し、制定を主導してきた「循環型社会形成推進基本法」は、環境省発足に合わせ、01年1月1日に施行された。
同法では、廃棄物処理について
(1)発生抑制
(2)再使用
(3)再生利用
(4)熱回収
(5)処分
――と、優先順位が設けられた。

また、環境汚染防止の原則である消費側の「排出者責任」、製造者が回収・再利用まで責任を持つ「拡大生産者責任」が盛り込まれたのも大きなポイントだ。

基本法の理念を実現するため、02年度中に国による「循環型社会形成推進基本計画」の作成が義務づけられており、環境省は現在、同計画の策定作業を急ピッチで進めている。計画には、最終的に埋め立てなどで廃棄される量を減らすことや、再使用・再生利用量など、10年度までに達成すべき具体的な数値目標が定められることになっている。

数値目標とともに、廃棄物排出者の果たすべき役割や、製品製造者などが製品の使用後まで責任を果たす拡大生産者責任の具体的施策も網羅される同計画は、3月までに作成され実施に移される。これによって、循環型社会の構築が急速に具体化するものと期待されている。

      *

リサイクル社会をめざす多様な施策も軌道に乗り始めている。その一つである廃棄物ゼロをめざす資源循環型街づくり計画「エコタウン」事業は、全国的な広がりを見せ、17地域が指定されている。なかでも北九州市のエコタウンには、ペットボトル、家電製品、OA機器、自動車など多くのリサイクル施設が整備され、再処理・資源化に威力を発揮している。

経済産業省は、「今後も年に2カ所程度のペースでエコタウン建設を進めていく」(環境調和産業推進室)と、リサイクル社会の推進に力を入れる。

      *

一方、個別物品のリサイクル関連法に基づく製品リサイクルシステムの構築も順調に進んでいる。

例えば、01年に施行された「家電リサイクル法」は、対象となるカラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンの4品目についてメーカーにリサイクルを義務づけた。このため、家電メーカーの多くは、独自のリサイクル施設を設けたり、他社との共同で施設建設に取り組んでいる。

01年度にリサイクルされた家電(4品目)は約855万台。02年度はこの数字を大きく上回るペースでリサイクル施設に回っており、同法の成果が着実に表れている。

「食品リサイクル法」に基づく生ごみ利用も順調に推移。特に、生ごみを発酵させメタンガスに分解し、燃料として使う方法が主流となっており、神戸市のポートアイランドに環境省が設置した生ごみからつくったメタンガスを利用する世界初の燃料電池発電プラントが注目されている。メタンガス生成プラントの開発には、機械メーカーのほかに大手ゼネコンも参入、新たな産業も芽生え始めた。

「容器包装リサイクル法」により、紙やプラスチック製のリサイクルも著しい。分別収集されたごみのうち、90%以上がリサイクルされているとみられ、環境汚染防止、再資源化に貢献している。

      *

公明党が情熱を傾注した循環型社会の構築は、時代の大きな潮流となっている。国の関連予算も毎年度、2兆円を超える規模となり、一層の進展に期待が膨らんでいる。

−−−「公明NET」より転載−−−