神戸市南部に広がるポートアイランド第2期事業の地域に今、真新しいビル群が誕生している。
阪神大震災で、地場産業や港湾施設が大打撃を受けた神戸市が、経済復興の切り札として進めてきた「神戸医療産業都市構想」の建物だ。このほど、「先端医療産業持区」の認定を受けたことで、同構想の推進に弾みがつくものと、関係者の期待は大きい。
同構想は、高度医療関連の研究機関、病院、産業などを1カ所に集積させ、
@経済不復興と雇用の確保
A市民の医療・福祉の向上
Bアジア諸国への国際貢献
−を目標に1998年から着手。
各種施設の整備から20年後の経済効果を、雇用者数で神戸市約1万8000人、関西圏約2万3000人と見込む。
先の持区提案のなかで神戸市は、国立大学教員が企業活動も行える「兼業禁止規定」の要件緩和、外国人研究者の在留期間の延長など12項目、法律にして10以上の緩和措置を申靖。
これに対して、今回の認定は、ほぼ満額回答だった。
構想の中核施設となる先端医療センターは、今年4月から全面オープン。
医薬品の臨床研究支援や再生医療の臨床応用などの機能を持ち、すでに、さい帯血移植の実用化に向けた造血幹細胞の培養研究や、先端機器による、がんの放射線治療などを実施。
また、隣接する理化学研究所の「発生・再生科学総合研究センター」も、約250人のスタッフが各種の研究チームを編成し、細胞再生の仕組み解明などに懸命に取り組んでいる。
両センターの周辺には、研究成果を事業化したり、並行して研究・開発を行う企業のテナントビル「神戸国際ビジネスセンター」が整備され、「臨床研究情報センター」もすでに一部が完成。
5月現在、34社が進出、または進出決定している。
市は、これまで築いてきたノウハウに加え、新たに特区の認定を受けたことで、「産官学連携のもと、関西全体のライフサイエンス分野のスーパークラスター(注)の形成を図りたい」 (市産業振興局)と意欲を燃やしている。
(注)クラスターは、互いに関連し合った企業や大学、支援機関などが集積する空間
−−−「公明新聞」より転載−−−
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