■ トピックス
2005/03/24 
住民がバスを走らせる! 東灘区 F.S 

調査、ルート選定、委託、認可取得などを推進
  全国初、補助金なしで運行 都市再生モデルに
   党員の運動が先鞭 市民会議主導で実現


神戸市東灘区の住吉台地区で、全国で初めて自治体からの補助金を受けずに、住民主導で実現したコミュニティーバス「住吉台くるくるバス」が1月23日から運行を始め、話題を呼んでいる。

住民へのアンケートや実験運行の推進、民間バス会社への委託、バス停・運行ルートの選定、時刻表の設定、運行認可取得まで、住民が汗を流して実現したユニ−クな試み。
その陰には公明党の女性党員らの先駆的な運動があった。

住吉台地区は1970年ごろから、六甲山の南側を造成し、整備された住宅地。標高200〜300bに位置し、急こう配の坂道が多いため、住民の間から「何とかバスを運行させてほしい」との要望が相次いでいた。
しかし、道幅が狭いために市バスの乗り入れもなく、最寄りのバス停まで、急な板道や300段を超える階段を通らなければならなかった。

こうした中、約5年前に、同地区の女性党員らが「地域の発展に責献したい」と立ち上がり、「住吉台にバスを走らせる会」 (中谷悦子代表)を結成。
アンケートを独自に作り、地域住民を一軒一軒回って「バス運行を希望するかどうか」を聞き取り調査した。
時にはバスに反対する人に怒鳴られ、追い返されたことも。また、何とか突破口を開きたいと、バス車両を持つタクシー会社に半年間、通いつめたこともあった。

3年前からは、市民活動を支壊するNPO法人「CS神戸」と全面的に協力し活動を展開。
その後、「CS神戸」の働き掛けによって、バス走行実験が国の「全国都市再生モデル調査」事業に採択。民間バス会社に委託し、2004年2月下旬から1カ月以上にわたって走行実験を実施し、乗車人数も、黒字を見込めるデータが得られた。

04年6月には、走行実験の動きに呼応するように、市民の連帯と住民合意を進め本格運行を実現しようと、「東灘交通市民会議」 (座長=大阪外国語大学の森粟茂一教授)が発足した。

同会議には、東灘区山麓(さんろく)部の自治会や住宅管理組合、老人クラブ、CS神戸などのNPO法人、学識経験者、バス事業者、神戸市などが参加。
森栗座長らがリーダーシップを取り、警察や国道事務所、市建設局、市交通局との調整、JR住吉駅前のバス停共用やダイヤ設定についての交渉、運行ルート・バス停位置の現地調査などを住民主体で進め、課題を一つ一つクリアした。

「住吉台くるくるバス」は運賃2000円で、狭い坂道でも小回りのきく28人乗りのマイクロバス。民間バス会社が補助金を受けずに運行している。

開通式で司会を務めた党員の中谷さんは「途中、何度も挫折しそうになったが、あきらめずに運動してきて本当に良かった」と感無量の笑顔。

森栗座長は「中谷さんらの率先した活動、広範な住民と連帯した動きは、今回のバス運動の先鞭をつけた」と指摘。

バス運行へ市各局が連携するように訴えてきた、市議会公明党の北川道夫議員は「交通不便な住吉台地区にバスを開通させることは、住民の念願だっただけに感概もひとしおです」と語っていた。

−−−「公明新聞」より転載−−−