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2008/05/16 
新エネルギーを求めて G8環境相会合 神戸からの報告 (上) F.S 


G8環境相会合まで、あと10日――。開催地・神戸市では4月から、下水から発生するガスを精製したバイオ天然ガス「こうべバイオガス」を自動車燃料として活用する取り組みが始まった。トウモロコシ由来のバイオ燃料の生産が世界の食料価格高騰の一因となる中、今後の環境対策に希望を与える、この廃棄物を活用した新エネルギーに期待が高まっている。

下水生まれのバイオガス 車両104台に使用
  CO2年間1200トン削減へ


「きょうもこうべバイオガスのバスに乗りましたよ」。市内に住む主婦(63)が笑顔で語った。身近で“エコの手応え”を感じやすいのだという。

同ガスは天然ガス車であれば燃料として利用することが可能だ。現在、市バスや運送車両104台が「こうべバイオガス」を燃料に走っており、市全体で環境保全に取り組もうという機運が高まっている。

この「こうべバイオガス」は、下水処理の際に発生する汚泥を発酵させた消化ガスが原料で、石油依存の社会を転換する“光”として注目されているバイオマス(生物由来の資源)燃料だ。

「バイオマスは温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)を循環させているだけで、自然界全体のCO2量を増やさない」。市下水道河川部の小池信男・担当主査が、全国初となる“下水生まれの自動車燃料”をアピールした。毎日2000立方メートルを供給でき、年間で1200トンのCO2削減が見込めるという。

神戸市は2004年7月、「消化ガス利活用検討会」を立ち上げ、今年(2008年)4月には、東灘下水処理場にガスの充填所「こうべバイオガスステーション」を設置。本格的な供給を開始した。

全国で初めて天然ガス車両を導入した近畿タクシー(神戸市長田区)は、実験段階だった06年から「こうべバイオガス」を試験的に利用してきた。森崎清登代表取締役は「六甲摩耶山への観光タクシーに活用している。環境に優しいということで乗客も喜んでくれている」と話している。

「通常のガソリンやディーゼル車のバスに比べ遜色ない走行の上、音も静かだ」。新エネルギーの利活用を推進してきた神戸市議会公明党(米田和哲幹事長)は4月21日、新エネルギーで走る市バスに試乗し、実用性を確かめた。

同市は環境相会合で、「こうべバイオガス」を燃料にした天然ガス車を使用し、「世界に神戸の取り組みを発信したい」と意気込む。

−−「公明新聞」より転載−−−