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2008/05/16 
新エネルギーを求めて G8環境相会合 神戸からの報告 (下) F.S 


「こうべバイオガス」をPRしたG8関連イベント・KOBEエコ市民フェスタ

下水から発生するガスを精製して自動車燃料化した「こうべバイオガス」。普及によるCO2削減に期待が寄せられているものの、開発した神戸市は「もう一歩利用量が伸びない」と不安気。市によると1日に2000立方メートルを供給できるが、現状、利用量はその半分程度だ。“脱化石燃料”をめざした新エネルギーの利用拡大へ、打開策が求められている。

「驚いたのは日本にはないバイオガス車への優遇措置です」。神戸市とともに「こうべバイオガス」を共同開発した。株式会社・神鋼環境ソリューションの開発担当者は、2005年にスウェーデンを視察した際の感想を語った。

スウェーデンではガソリンなどの化石燃料に対し、炭素税など重い税が掛かるが、バイオガス燃料は無税。さらに首都・ストックホルムでは、ガソリン車が入るだけで「進入税」が課税される仕組みも導入。これらが功を奏し、「こうべバイオガス」と同様のバイオ燃料が普及している。「新エネルギーを生かすには一段の工夫がいる」。担当者は税制を含めた法整備の必要性を示した。

天然ガス車のコスト高も壁

「こうべバイオガス」は天然ガス車用の燃料だ。近畿タクシー(神戸市長田区)の森崎清登代表取締役は「本当なら天然ガス車を増台して、こうべバイオガスをもっと活用したいが、コストが大きい」。と話した。

天然ガス車は現在、車メーカーで大量生産されておらず、普通車の燃料系統を改造することで、天然ガス車両とする場合が多い。改造する分、コストが掛かるという。

「天然ガス車がもっと安価になれば、こうべバイオガスの利用も増えるはず」と森崎代表取締役が希望を語った。

一方で、市民へのPRも重要だG8環境相会合の関連イベント「KOBEエコ市民フェスタ」が10、11日に開催され、「こうべバイオガス」がパネルで紹介された。参加した市内在住の男子大学生(21)は「バイオガス対応の市バスを選んで乗ることで、いい連鎖に貢献したい」と話していた。神戸市は今後も、イベントなどで新エネルギーをPRしていく。

G8環境相会合まであと9日。議長国・日本のリーダーシップが期待される中、開催地・神戸市では先導的な取り組みへの挑戦が続く。

−−「公明新聞」より転載−−−