■ トピックス
2011/08/12 
自殺防止対策を強化 神戸市 F.S 

毎年300人を超える事態に 公明党議員が提言・要望
「いのち大切プラン」が始動 6年間で20%減へ
注目される「G−Pネット」 一般医と精神科医の連携図る


 神戸市は、市内の自殺者が年間300人(1998年以降)を上回る深刻な現状を重視し、今年度から2016年度までの6年間に09年の349人を20%以上減らす「神戸いのち大切プラン」 (今年3月に策定)について、今夏から市自殺対策推進本部を立ち上げて、総合的な対策に乗り出した。市議会公明党(大澤和士幹事長)が強力に推進してきたもので、取り組みの成果が注目されている。

 同プランは、自殺に至る原因や動機として「健康」 「経済・生活」 「家庭」などの問題を挙げており、自殺する人は「直前にうつ病等の精神症状を呈している場合が多い」と分析。対策の柱として「こころの健康づくり」 「相談機関の充実と地域連携体制の強化」などを掲げた。

 特徴的な施策としては、うつ病対策として「神戸G−Pネットワーク」の推進、自殺のサインに気付いて関係機関につなぐゲートキーパー養成、市民意識啓発など10項目以上に。

 このうち、注目されているのが市が市医師会に委託し、昨年から先行実施している神戸G−Pネット。Gはかかりつけ医、Pは精神科医のことで、両者の連携を図ることによって、うつ病対策を推進しようという試み。

 市医師会によると、うつ病患者のうち、64・7%が初診時に一般内科を受診し、専門医受診は10%に満たない。このためかかりつけ医のうつ病の診断技術・対応力向上と、専門医へのスムーズな紹介が自殺予防には欠かせないという。

 かかりつけ医と精神科医(医療機関を含む)は、同ネット内に開設された「情報センター」を窓口として、患者の紹介や情報の共有化を行い、患者に有効な診療を実施する。

 現状では、同ネットへの医師や医療機関の参加数は限定的なため、市医師会はより多くの医師の参加を検討中で、将来的には、うつ病対策、自殺者減少対策の核となることをめざしている。

 一方、G−Pネットワークとは別に、市医師会は市と協力して、かかりつけ医のうつ病対応能力向上研修にも力を注いでいる。
 自殺対策については、市議会公明党の藤本浩二議員が08年10月の決算特別委員会で、国の自殺対策基本法成立を評価しつつ、市として内科と精神科の協力による医療チームづくり、ネットワークづくりに取り組むよう提言。市側はネットワークづくりに努める考えを示した。

 また、09年9月本会議では同僚の北川道夫議員の質問に対し、市側は「神戸G−Pネット構築をめざす」 「市自殺対策推進計画の策定に着手したい」と表明したため、同月の総括質疑で藤本議員が再度、「一日も早い取り組みを」と要望していた。

【G−Pネットワーク】
GはGeneralistまたはGeneral physician、PはPsychiatristの頭文字で、一般医と精神科医の連携強化を図るシステム

−−「公明新聞」より転載−−−