神戸市は、家族の介護や世話を日常的に行う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」や20代の若者を支援するため、6月から市立総合福祉センター内に専用の相談窓口を開設している。市によると、ヤングケアラー支援に特化した窓口の設置は全国初の取り組みだという。推進してきた市議会公明党(壬生潤幹事長)はこのほど、市担当者から話を聞いた。
現在、病気や障がいのある親、兄弟、祖父母などのケアが必要な人の生活を支えるため、若い世代が過度なケアを強いられていることが課題となっている。厚生労働省と文部科学省が連携し今年4月に公表した実態調査によると、世話をしている家族がいると答えた割合は、中学2年生では5・7%(約17人に1人)、全日制高校2年生の場合、4・1%(約24人に1人)に上っている。家事や家族の世話などを日常的に行うことで「宿題をする時間や勉強する時間が取れない」「睡眠が十分に取れない」などの悩みがあるという。
また神戸市では、「20代の若者でも仕事と介護の両立などで負担が増え、ケアが必要な家族との関係に悩んでいる」(市福祉局政策課)といい、対策が急務となっている。
■社会福祉士らが電話やメール、来所に対応
同市では、こうした課題に取り組むため、今回、当事者や関係者が相談して支援の調整を行う相談・支援窓口を設置した。
対象は、ヤングケアラーや若者のケアラーと、その関係者。開所時間は平日の午前9時から午後5時まで。社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師の資格を持つ相談員が対応し、電話やメール、来所で相談することができる。市によると7月末現在で、窓口に45件の相談が寄せられており、そのうちの一部は関係する機関と連携し支援につながった例もあるという。
■当事者間の交流も促進
また小中学生のケアラーには、お互いに交流と情報交換ができる場として、こども食堂や学習支援の場などを紹介。高校生以上に関しては、今秋にも当事者同士が交流できる場を設ける予定だ。
市福祉局政策課こども・若者ケアラー相談・支援窓口の岡本和久担当課長は「ケアラー本人が過度な責任を感じることなく、相談できる場があることを知ってほしい」と語っていた。
市議会公明党の沖久正留、徳山敏子、軒原順子の各議員は昨年11月、今年2月定例会質問や3月の予算特別委員会を通して、ヤングケアラーの対策に関し、取り組みの強化を求めるなど会派を挙げて推進してきた。
−−「公明新聞」より転載−−−
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