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2002/10/09 15:12:48 
平成14年第3回定例市会本会議・・・議案外質問要点(平成14年10月9日)


赤塚恵一議員(兵庫区選出)は、平成14年10月9日午後、本会議で公明党神戸市会議員団を代表し、市長などに議案外質問を行いました。その質問と答弁の要点は次の通りです。


1、職員の相次ぐ不祥事に関しての今後の対応について
【赤塚議員質問】
相次いで発生した職員の不祥事に対して、綱紀粛正と服務規程の確保についての通達文書を出したが、市民の市政に対する信頼を回復することは、並大抵の努力では難しいと考える。市民の信頼を回復し、再発を防止するための方策について、市長の見解を伺いたい。


【答弁:矢田市長】
連続して発生している不祥事件で、市民の皆様に大変ご迷惑をおかけしたことについて、深くお詫び申し上げる。不祥事を二度と起こさないために、まずチェック機能を強化して、職員一人一人の事故防止への努力、人間として社会人としてはもちろん、公務員として人間として個人個人で果たすべき役割の認識の徹底、倫理意識の高揚が必要と考えている。

各職場の管理監督者を倫理管理者に任命し、管理監督者(約500人)に対して倫理・服務事故防止について、外部の講師をお呼びして研修を実施し、更に全職員に研修を義務付けたい。

全職員に対して、服務規律の確保について私の思いを文書で通知し、管理職が通知文を職員一人一人に手渡し、その趣旨が実質的にきちんと伝わるよう指示を徹底した。

また、内部基準である「懲戒処分の指針」を公表し、処分がどれだけの重さがあるのか、個人一人の問題ではなく、職場、上司、同僚、また家族や子供にどれほど影響するのかを分からせるとともに、職員に対して、公務員としてどうあるべきかということで公表した。

今後の取り組みとしては、職場内での討議に継続的に取り組み、十分なコミュニケーションや意思疎通の確保を図れる風土が必要であり、そのような職場風土を変えると言うことが重要であると思っている。今後、職員一丸となって行政の信頼回復に向け立ち向かっていきたいが、私自身も職員の一人一人と直接話し合いたいと思っている。


2、環境施策の基本方針と全庁的省エネ対策をについて
【赤塚議員質問】
CO2削減や屋上緑化の推進、ゴミの減量化・リサイクルなどの施策の狙い効果など、環境施策の基本方針が明確でない。
環境施策は、経費節減にも直結するため、本来の目的を十分考慮し、それに相応しい手法で取り組むなど、総合的な観点から全庁的な省エネルギー対策をとるべきと考えるがどうか。

【答弁:矢田市長】
本市では、平成12年3月に市域全体の地球温暖化防止対策のために、「神戸市地球温暖化防止地域推進計画」を策定し、平成22年度までに平成2年比で6%以上の温室効果ガス削減を目標とし取り組んでいる。この計画に基づき、市民・事業者に対する普及・啓発、融資・助成などに取り組むほか、「神戸版ISO」早期導入に向け、準備している。

平成13年3月に市の全ての事務・事業を対象に省エネルギーを中心とした率先実行計画として「CO2ダイエット作戦(神戸市役所地球温暖化防止実行計画)」を策定した。これは、平成17年度までに平成11年度比で10.5%以上の温室効果ガスを削減することを目標とし、事務事業を推進している。

建築物の省エネルギーを目的としたESCO事業は、地球温暖化防止、経費削減に有効であり、導入は欠かせないものと考えている。現在、市が所有する施設を対象に、開発管理事業団、都市整備公社と共同で省エネルギー事業化可能性調査をNEDOの補助を得て実施している。民間施設に対しても、NEDOや(財)省エネルギーセンターの協力のもと、ESCO事業の説明会、無料省エネルギー診断、補助事業の紹介など、ESCO事業の展開を支援していきたい。

緑化の本来の役割としては、「都市環境維持・改善機能」、「防災機能」、「景観形成機能」、「健康・レクリエーション機能」があり、屋上緑化には気温の低減、室温の低下に大きなメリットがあると言われている。六甲山の緑化については、これからの100年規模の構想で、森林の保全・育成を推進していくメニューを考えている。

平成13年度に「緑生都市研究会」を立ち上げ、総合的に都市緑化について検討を行っており、屋上緑化を1つのシンボルとして取組もうとしている。平成14年8月に、建築物の屋上等に整備する緑化の規模によって容積率を割増することができる「屋上緑化型総合設計制度」を創設し、運用を開始している。この他省エネ設備、太陽光発電の導入など人口廃熱の低減と併せて、透水性舗装等の改善策を実施していかないといけない。

ごみの減量とリサイクルの推進施策では、「発生抑制」「再使用」「再生利用」のいわゆる3Rの推進が、地球温暖化防止に大きな効果をあげると認識し、出前トーク等を通じてエコの精神を広めて生きたい。

地球温暖化防止、省エネルギー、リサイクルという分野は、市民活動、事業活動に直結しているため、着実な取り組みに向け努力してまいりたい。


3、医療保険制度改正に伴う貸付け制度の創設について
【赤塚議員質問】
高齢者の医療費にかかる患者負担が見直されたことにより、高齢者世帯等で当座に支払う必要のある資金に困ることが予想され、国も小口資金を貸し付ける制度の創設を検討しているが、これに対して神戸市としてどのように取り組もうとしているのか伺いたい。


【答弁:梶本助役】
厚生労働省においては、社会福祉協議会において現在実施している生活福祉資金貸付制度を今年度中に創設する予定としている。高齢者世帯等にかかる緊急の資金需要についても、この新たな貸付制度による対応が検討されている。しかしながら、現段階では、まだ緊急小口資金貸付制度が創設されていないため、従来から65歳以上の高齢者世帯等を対象に実施している療養・介護資金貸付制度を弾力的に運用することにより、当面の間の対応を図ることとされたところである。

神戸市社会福祉協議会においても、国からの通知等を踏まえ、区社会福祉協議会を窓口として、この10月から貸付申し込みの受付を開始している。


【赤塚議員再質問】
療養・介護資金貸付制度を運用していくとのことであるが、借り入れ要件が厳格であり、緊急的な借り入れに対し迅速な対応が可能かどうか心配される。
市民が必要とする時に十分対応できるような制度となっているのか、具体的な制度の仕組みや内容について伺いたい。また、今後の窓口の対応についての当局からの指示や市民への周知の方法について伺いたい。


【梶本助役再答弁】
10月からの医療保険制度の改正により、緊急小口資金貸付制度が、本来10月からスタートすれば理想的であったが、若干遅れたことにより、新しい制度が出来るまでの間、療養・介護資金の貸付要件が一部緩和されることにより、高齢者等にかかる借入手続きの簡素化が図られている。

具体的には、療養・介護資金の貸付に際し、その借入理由が緊急かつ一時的で、借入金額が5万円以下である場合には、連帯保証人を必要としない取扱いとされている。
今後は、相談状況や利用状況を見ながら、高齢者世帯等が安心して生活できるためのセーフティネットとして本制度が十分機能するよう、国に対して制度の改善や安定実施するための事務体制のバックアップ等について要望してまいりたい。


4―(1)痴呆性高齢者支援対策―痴呆性高齢者訪問支援員派遣事業の本格実施について
【赤塚議員質問】
痴呆性高齢者の尊厳を保ちつつ、介護する家族の負担を軽減するため、痴呆性高齢者訪問支援員派遣事業をモデル実施しているが、早急に本格実施すべきであると考えるがどうか。


【答弁:梶本助役】
痴呆性高齢者訪問支援員派遣事業愛称、「ほっとヘルパーサービス」は、今年度の新規事業として、上半期は東灘区においてモデル事業として実施している。具体的には、同区内のNPO法人である神戸ライフ・ケア協会に事業委託して、同区内の住民を対象に支援員を派遣している。現在4名の支援員が14名の家庭に訪問しており、いずれも軽度から中程度の痴呆性高齢者である。

事業の実施状況については、1回あたり概ね3〜5時間という通常のホームヘルプより長時間の利用をいただいているところである。サービスの内容も在宅での見守り・話し相手・外出の同行など状況に応じて様々であるが、いずれも痴呆介護の研修を受けた支援員による専門性のあるサービスとして提供しているところである。
利用者の家族からは、介護負担の軽減が図られ、閉じこもり防止につながると大変喜ばれており、派遣している事業者や専門家からもこの事業に対し、前向きな評価をいただいている。

今後の予定については、この11月から全市展開することにしており、現在各区毎の事業者の選考を既に終え、本格実施に向けて準備中である。近いうちに市内各区の利用希望者やケアマネジャー等に対して広く制度の周知を図り、利用の促進を図るとともに、介護する家族の負担軽減に努めていきたい。


【赤塚議員再質問】
痴呆性高齢者訪問支援員派遣事業については、11月から全市展開をしていくとのことだが、痴呆性高齢者の問題は介護する家族にとっては深刻な問題である。緊急地域雇用創出特別交付金を財源にしているとのことだが、この財源は時限的なものであり、わが党でも坂口厚生労働大臣に対し、制度の延長を求めているが、本市でも事業の継続性が損なわれないよう、また、家族支援という観点からも、来年度以降も引き続き事業実施をしていただきたいと考えるが、見解を伺いたい。


【再答弁:梶本助役】
ご指摘のとおり、この事業に係る財源は緊急地域雇用創出特別交付金であり、時限的なものである。

市の財政はご承知のとおり、大変厳しい状況であるが、今後の高齢化の進展を考えると痴呆対策は重要な柱となってくることも十分認識している。15年度以降の本事業のあり方については、実施手法や財源を含め、今年度の実績を踏まえて検討していきたい。


4−(2)痴呆性高齢者対策支援―福祉・医療・保健のネットワーク化について
【赤塚議員質問】
痴呆性高齢者を介護する家族を支援するために、市内にある痴呆性高齢者を対象とした特養、老人性痴呆疾患病棟を運営する医療法人や高齢者鑑別診断を実施している西市民病院などの専門機関を有効活用し、福祉・医療・保健のネットワーク化を図る必要があると考えるがどうか。


【答弁:梶本助役】
福祉・医療・保健のネットワーク化に関して、痴呆性や痴呆介護の問題に関しては専門的問題であり、調査研究も緒についたばかりである。痴呆に関する認識もようやく一般的に広まってきたところであり、未だ市民の理解も十分浸透しているとは言い難い状況と考える。そうしたことから、介護する家族が痴呆問題に直面して戸惑うことも多いと聞いている。

痴呆性高齢者に対する専門機関については、ご指摘のとおり、市内には保健・医療・福祉各分野での専門機関が徐々に増加しつつあり、これらに係る専門的な人材も増えつつある状況である。これらの運営主体も、行政機関や公的団体の他、民間法人や家族等関係者の自主的な団体などもあり、痴呆性高齢者の問題には幅広い関係者がさまざまな取組みを行っているところである。

ご指摘のとおり、痴呆性高齢者や介護する家族への支援を行うためには、これらの専門機関をより有効に活用していく必要があると認識しており、そのため、これらの関係機関のネットワーク化を図り、痴呆問題に係る相談等に的確に応えていける体制を整備していく必要があると考えている。


5、中小企業対策について
【赤塚議員質問】
中小企業に対する制度融資や相談事業等の直接的な支援を行うとともに、産業構造を図るため、医療産業都市構想を推進しているが、既存産業の波及効果は、短期的にはなかなか現れにくい。市内中小企業が、長期化する不況から脱却するため、市としてもう一歩踏み込んだ対策を実施する必要があるのではないか。


【答弁:鵜崎助役】
神戸の中小企業は、企業数で約98%、雇用で4分の3以上を占めている。中小企業がまさに神戸経済を支えているという認識の下に、これまで中小企業に対してさまざまな施策を行ってきたところである。
復興工場の建設、また民間の賃貸工場への家賃補助、あるいは金融支援についても、例えば、小規模支援事業資金融資と無担保無保証人融資の信用保証料を市が負担しており、これは市内中小企業の6割近くをカバーしており、他都市もやっていないような思い切った施策である。また金利の連続的な引き下げ、限度額の引き上げなども行ってきた。
このほかにも、商店街についても、コミュニティとの一体化策、消費者ニーズへの対応と、高度化の促進などいろんなことを進めている。来年でファッション都市宣言30周年を迎えるが、生活文化がまさに中小企業そのものであるという観点から、いろんな取り組みをやっている。その中にはケミカルも入っている。
集客・観光産業にも大きな力を注いできた。
これからの新産業に対しては、医療産業ではバイオだけでなく、市内の機械金属系の中小企業の仕事を増やすため、助成制度を新設したり、ロボットテクノロジー構想を進めている。

第一義的には、私たちがこれまで進めてきた施策を充実させることが大切であろうと考えている。
例えば、北野工房のまちは5年の時限措置でつくった施設だが、地元の理解を得て、延長させていただき、生活文化産業の拠点にしたいとの心構えのもとに進めている。
あるいは、コミュニティビジネス形成支援事業ということで、従来のチャレンジショップだけではなく、NPOの方々と接点をもつことにより、新しい商店街の活性化ができないかと取り組みを始めたばかりである。
また、パイロットエンタープライズゾーンを利用して、市内中小企業にも仕事が回ってくるような医療産業都市づくりのための企業誘致を進めたいと考えている。ロボット研究所も最近できたので、それを踏まえて新たな取り組みをしていきたい。
いろんな形で、今まで進めてきたことを充実させる。そして、どういう制度を、どう変えていけば中小企業の方の元気が出るかを、まず第一に考えていきたい。

もちろんこれだけではなく、さらなる中小企業対策が必要ではないかと考えている。国においても、雇用対策を軸として検討されている総合的なデフレ対策の動向を踏まえるとともに、神戸市としても、独自に中小企業の元気の出る施策、とくにやる気のある中小企業の方への有効な施策を、早急に検討している真っ最中である。


【赤塚議員再質問】
現在いろいろな施策を県や振興公社、産業振興センター、市などで縦割りで行っている。そうした縦割りで行っている施策を総合的な見地で見直して、再構築すればと考えている。そうすれば、それほど資金をかけずに実行できるのではないかと思うが、もう一度見解を伺いたい。


【再答弁:鵜崎助役】
まずは今までやってきたことを検証する必要があると考えている。多分、市民の方からもいろんな施策を打ち出しているが、知らなかったとか、そんなことがあるので検証してみたい。
また、最近審議会とか、いろんなところから提言があるが、まだできていないものがある。そういったものをもう一回検証することによって、今までやってきた 施策をかけて足して割って、新しい施策展開ができないかということで、今作業を進めている真っ最中である。

そういう意味では、縦割りで行っている施策を総合的な見地から見直すべきだという考えは、まったく同じで、中小企業施策は、県、振興公社、市、市の産業振興センター、会議所、HERO等とそれぞれの施策を競い合っている。今日的な視点から、再編する、付加価値を高めていくことができないかと考えている。また、新しい施策を設けても、それをどう周知するかも課題と考えており、こういった点も踏まえて、中小企業のさらなる振興のため、努力してまいりたい。


【赤塚議員要望】
ことは緊急を要する。スピード感を持って、迅速に対応してほしい。