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2002/12/25 12:53:49 
平成14年度「第4回定例市会」・・・13年度一般会計決算・特別会計決算「総括質疑」(平成14年12月11日) k.o 


「決算特別委員会」総括質疑要点 

平成13年度一般・特別会計決算について、11月29日より12月9日までの日程で「決算特別委員会」が開かれ、局別審査の後なお残された課題について、12月11日 松本修議員(決算特別委員会理事、須磨区選出)は、市長ならびに助役に対し総括質疑を行いました。
質疑の要点は次の通りです。

1.経済の活性化と雇用の確保について 
(1)雇用の確保について
【質問】平成14年度上半期の雇用実績が約2,800人と発表されているが、景気状況が悪く、実感を伴わない。企業の倒産やリストラなどによる離職者を差し引いたネットの雇用増大数はどうなっているのか伺いたい。

【答え】(市長)平成14年度上半期は約2,800人の雇用を創出できたが、一方で、同時期に負債額1千万円以上の倒産が約150件発生しており、離職者が増えているものと考えられる。その数を把握することは困難であり、そういう点から実数を比較することはできないが、市内の雇用状況は極めて厳しいものと認識している。
神戸の既存産業の活性化と高度化、また医療産業などの成長分野、福祉・医療に付随した産業の育成や新産業の創造、企業誘致も重要である。「セーフティーネット資金融資」や「雇用拡大対策資金融資」制度を設置し、さらに「緊急地域雇用創出事業」の前倒し実施で67%が再就職に結びついた。今後とも、少しでも雇用状況が改善されるよう全力で取り組んでまいりたい。

(2)金融対策について 
【質問】かねてより借り換えを含めた融資制度の拡充を要請してきたが、委員会の答弁では、「文書により、貸し渋りや貸しはがしの無いように、また既存融資の条件変更の申し出については柔軟な対応を行うように金融機関に要請した。さらに、銀行と意見交換を行い、直接お願いした。」とのことであったが、市長自ら金融機関のトップと会い、直接具体の協力要請を行うべきと考えるがどうか。

【答え】(市長)中小企業制度融資については、かねてより力を注ぎ全体の融資利率を一斉に引き下げた。また、セーフティネット資金融資について、総額121億円の融資枠を確保するとともに、融資限度額の引き上げ、利率の引き下げ、融資対象枠の拡大を行うなど充実強化を図っている。特に、年末・年度末にかけての市内中小企業者への資金供給の円滑化について協力要請を行い、さらに職員が取扱金融機関を直接訪問し、既存債務の条件変更の申出については、これまで以上に、より一層柔軟に対応していただくようお願いしている。さらなる金融支援について、年度途中ではあるが、融資対象、要件を緩和し、中小企業の資金需要の一助となるように、不況に伴う緊急金融支援対策を1月位にやりたいと考えている。

2.障害者の雇用について 
【質問】局別審査で、市や外郭団体の入札において、障害者法定雇用率を達成している企業を優先させる施策を導入するべきとの質問をしたが、局長からは「今後の課題であると認識しているが、このような社会情勢では、公平性・競争性・経済性・履行能力を優先せざるを得ない」との答弁があり、非常に消極的であり残念である。
障害者にとって安心して暮らせる街になるためにも、企業に趣旨を徹底し神戸市の仕事をするには障害者を雇用するのが当たり前といった常識を作っていくべきと考えるがどうか。

【答え】(梶本助役)現在、市の入札制度においては、入札参加申請の際に障害者の雇用状況を申請書に明記させ、その雇用の促進を図っており、指名にあたって留意する事項として身体障害者の雇用の状況もあげている。
入札制度において、@障害者法定雇用率の報告の義務付け A工事請負入札参加資格者の等級格付けに障害者法定雇用率の達成を加味すること B障害者多数雇用事業者への優先指名、随意契約などが考えられるが、入札・契約にあたっては、競争性や、経済性、公平性の確保のみならず、履行能力の確保に十分配慮する必要もありご理解願いたい。
障害者の一般就労につながる施策を進める上で、市の入札制度を通じた誘導も大変効果があると認識しており、他都市の施策も参考にしながら、少しでも障害者の雇用につながる方策はないか、具体的に検討していきたい。

【再質問】 
 局審査となんら変わらない答弁である。障害者を雇うのが当たり前という社会を作るため、アメリカにはADA法や、イギリスやオーストラリアには、DDA法があるが、日本にはまだ、そういうものがない。そのような中で、強制力はないが、市の工事をするのなら当然、障害者を雇うのが前提であるというような強い姿勢をもっていただきたい。日本では前例は無いかもしれないが、神戸市だからこそ取り組んでほしい。

【答え】(市長)
 日本の取り組みは相当遅れており、まだまだ理解と認識がお粗末であると認識している。工事入札の際に何か方策が取れないかということであるが、点数を付けるのか、どういう方法がよいのか検討するべきだと思っている。
 日本は、アメリカやヨーロッパの域までどのくらいの時間で到達できるのか。国民全体、市民全体が意識して、世の中全体の問題として取り組んでいくべきだと思う。

3.制度的無年金者について 
【質問】制度的無年金問題について,「決意はある。予算の中で具体的なことを提案したい」との市長の答弁は評価したいが、対象者は,今年4〜10月の間で,30人の方が亡くなられており,現在730人ぐらいである。毎年,対象者は亡くなられており,外国人の障害者の無年金者も同じ問題である。来年4月から支援費が導入され,無年金者はサービスの利用料がどうなるのかという不安を抱えている。この点について,市長の見解を伺いたい。

【答え】(矢田市長)
外国籍の障害者の無年金問題については,坂口厚生労働大臣の私案が7月に出され,現在,国で実態調査中である。早急に制度化されるものと期待している。
本来この問題は,国が解決すべきものであるが,本市では,国が救済措置を講ずるまでの経過措置として,平成10年1月から在日外国人等福祉給付金事業,また平成3年7月から全国に先駆けて重度障害者特別給付事業を実施している。支給額については,政令指定都市の中では高い水準である。
市としても制度化とともに、県との共同事業として,国民年金支給額に近づけるよう引き続き努力していきたい。

【再質問】 
国の制度の問題でもあるが,人権の問題でもある。人権が侵されていると考えるがどうか。

【答え】(矢田市長)
人権の問題であるという視点があったからこそ,平成10年から,在日外国人等福祉給付金事業,平成3年から重度障害者特別給付事業を実施してきた。

4.障害のある児童生徒への支援について 
【質問】現在、約290人の障害をもつ児童生徒に対し、300人近いボランティアが1校園あたり約24日来ているが、子どもたちは年間200日程度通学していることから、学校生活の9割弱が何も支援の無い状態である。国・県へ教員の加配を要望するのは当然であるが、市として、さらなる支援策を講じるべきと考えるがどうか。

【答え】(西川教育長)
 校外学習や校内の移動などで、車いすの移動介助、食事や排泄の生活身辺介助を行っており、最大70日程度の介助ボランティアを配置している。車いすなどの移動介助の支援については、ほぼ希望どおりの配置日数ができているが、全ての生活身辺介助を必要とする重度の児童生徒に対しては十分満たしていない。平成14年度は、143校園で平均24時間の配置となっており、2年前は平均20日程度であり、少しずつではあるが充実させている。特に全介助を必要とする重度の児童生徒を重点的に、ボランティア配置日数を増やすことに努めたい。