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2007/07/31 
平成19年度「第2回定例市会」…改選後初の定例市会…新しい議会の体制が決定! K.O 

■第2回定例市会
改選後初の定例市会…新しい議会の体制が決定!
活力ある神戸のまちづくりを!

神戸市会平成19年度「第2回定例市会」が6月20日から7月3日まで14日間の日程で開かれ、初日の本会議では正副議長の選挙を行い、また市会運営委員会の委員および委員長を選任しました。26日の本会議では6つの常任委員会の委員および委員長を選任し、さらに3つの特別委員会の設置・委員の選任を行い、議会の新しい体制がスタートしました。特別委員会では、今回新たに「都市活力の創造に関する特別委員会」が設置され、神戸の活力ある将来のまちづくりについて調査することになりました。
また26日の本会議では政務調査費の交付に関する条例改正案が全会一致で可決され、政調費の使途基準の明確化とすべての支出について領収書の添付が義務付けられました。
7月3日の最終日の本会議では、公明党議員団を代表して、菅野吉記議員(兵庫区選出・新人)が当面の市政の課題等について質問を行いました。

【議案外質問の要旨】
1 医師確保対策
 (1)質の高い医療の提供を!
近年、初期臨床研修の必修化などをきっかけとし、地方を中心に医師不足や偏在が深刻な社会問題となっている。市民病院群においても、例えば、西市民病院では、相次ぐ勤務医の退職により24時間救急医療体制が維持できなくなり、また、西神戸医療センターにおいては、小児科救急を縮小せざるを得ない状況となっている。このような勤務医が定着しない問題の背景には、医師が過重労働を強いられる病院の環境や、全国平均より安い給与があると言われている。医師が不足する事態がますます勤務医の過重労働を深刻化させ、補充してもすぐやめていくという悪循環に陥っているといっても過言ではない。さらに市民にとっての一番の問題は、このような医師の過重労働と定着率の悪さが医療の質の低下を招くことである。このような状況に鑑み、これまでも公明党議員団として、市当局に対し、迅速かつ的確な改善策を講じるよう求めてきたが、これに応えて、当局においては、医師の勤務実態の改善について、全国に先駆けた取り組みを始めたことは評価する。具体的には、今年度から、医師の宿直明けについて勤務を要しない日とし、外来診察など引き続き勤務をする場合は、時間外勤務手当てを支給するほか、断続的に業務を行う宿直の実態を踏まえ、宿日直手当の支給対象からはずして、時間外勤務手当を支給するなど、「神戸方式」と呼ばれる制度を創設したところである。しかし問題は運用実態である。「宿直明けの休み」については、本年5月の勤務状態を調査すると、中央市民病院においては、宿直明けが平日の場合、97%の医師が宿直明けに勤務している。スタートしたばかりでいまだ制度が定着していないこともあるだろうが、新制度を実効性のあるものにするための改善が急務である。特に、病院の経営形態が独立行政法人化に移行することが事実上決まり、柔軟な給与体系の設定などより経営の自由度が高まることは、医師が働きやすく、質の高い医療を提供できる魅力ある病院作りに有力な武器になるものと思う。この独立行政法人化を見据えた、具体的かつ実効性のある対策を直ちに検討する必要があると考えるが見解を伺いたい。

(矢田市長)
病院に勤務する医師について、勤務実態については全国的に深刻な問題となっている。特に宿直医師の場合にはほとんど仮眠が取れない状態で翌日通常勤務に入るということで、数十時間の連続勤務になることが少なくないという実態がある。
  市民病院の勤務医師の宿日直の回数を見ると、月平均で3回程度、多い診療科では5回以上となっている。
このような勤務環境を神戸市で改善するため、今年度より、全国的にも先駆けとなる形で、宿直の勤務シフト及び時間外勤務にかかる手当の支給方法について見直しを行ったところである。
この勤務シフトというのは、今まで勤務時間の中で、17時30分から8時45分までを宿直と位置づけていたが、これを、17時30分から0時までを宿直と位置づけ、0時から8時45分までは勤務として、8時45分以降の勤務については夜勤明けという位置づけで、それに対して時間外勤務手当等で対応することとした。
しかしながら、宿直明けの実態としては、宿直明けが休日・祝日の場合には、午前中に帰宅できている医師もいるものの、宿直明けが平日の場合には、ご指摘のとおり、ほとんどの医師が勤務を行っているというのが実情である。
宿直明けの勤務内容は、外来診療、入院患者の対応や手術患者の経過観察など様々であるが、このような勤務実態を引き続き詳細に分析し、そのうえで業務軽減が必要な診療科においては、例えば外来診療を中心に非常勤の応援医師の招聘を積極的に進めるなどの対応が必要と考えている。こういった点も踏まえ、今年度から、応援医師の報酬基準についても見直しを行ったところであり、実際に昨年度までと比べて応援医師の確保が進んでいる診療科も多くなっている。
今後とも、新制度の本来の目的である「医師の精神的・身体的負担の軽減」をできるだけ実効性のあるものにするため、宿直明けの業務の軽減に向けた工夫を継続して検討してまいりたい。
次に、独立行政法人化を見据えた対策について、市民病院の運営形態については、現在、地方独立行政法人化に向けて検討が進められているが、医師の給与体系や勤務環境の改善という観点からは、ご指摘のとおり、早急に具体策を検討していく必要があると考えている。
医師にとって働きやすい病院づくりを進めるためには、給与だけの問題に留まらず、全体として医師のモチベーションを高めるような制度や環境を整備していく必要もあると考えており、現行の制度では十分に反映できていない点に対して、成果主義的な視点により取り組みを進めていくとか、あるいは、新しい視点に基づいた人事給与制度等の構築に向けて、医師を中心としたワーキンググループを近々に立ち上げて、検討を進めていきたいと考えている。
また、病院全体で、医師が診療に専念できるような環境づくりを進めていく必要があり、独立行政法人化を見据えた具体的な制度案をできるだけ早い段階から検討・提示することにより、現在勤務している医師のモチベーションの向上にもつなげてまいりたい。

(再質問)
  独立行政法人に移行する段階で、医師の労働環境を改善し、また、医療がさらに高度化する中で、医療業務の分担が必要ではないかと思う。助産師や専門看護師の業務の拡大や、また、医師と関連する業務の見直し、また、医療事務の業務拡大のため、メディカルクラークの導入も必要ではないかと考える。医師の労働環境をただ単に改善すればよいと言っているのではなく、市民患者の方により良い医療サービスを提供するために考えていただけたらと思うので、よろしくお願いしたい。


(矢田市長)
医師と他職種の業務分担の見直しについては、政府のほうでも検討を進めているところであるが、医師の負担の軽減に効果的な対応であろうと思われる。
医師が診療に専念できる環境づくりにしていくためには、他職種との業務分担の見直しについて考えていく必要がある。例えば、診療報酬請求のチェックやカルテ・検査書類の整理など、従前から取り組みを進めている分野もあるが、そういうクラークによって、さらに一層医師が診療に専念できるよう取り組んでいくことが重要であると考えている。
さらに、現在、西市民病院において、助産師が正常分娩に限り医師と役割分担しながら、妊婦健診や保健指導を行う「助産師外来」の開設を検討していこうとしており、できればこの秋くらいに実現できるよう考えていきたい。

(要望)
地域の声として、市街地の西部地域で中核病院でもある西市民病院の24時間救急医療体制が少しでも早く復帰されるようお願いしたい。


 
 (2) 女性医師の確保対策・就労支援策を!
昨年の企業会計決算市会において、他市に先駆けた女性医師の増員による医師不足解消を公明党議員団として提案した。たしかに、中央市民病院において、院内保育所を平成17年から医師の希望者にも提供している。しかし実際女性医師が利用しているのはわずか3名である。運営時間等々、利用しやすい状況とは言えないのが原因ではないか。地域医療の貴重な担い手として、女性医師が結婚、育児等でキャリアを中断することなく、働き続けていくために仕事と家庭の両立支援、そして働きやすい環境づくりが喫緊の課題である。他都市において女性医師の就業支援策や復帰支援策が次々と打ち出されているが、本市も院内保育のみならず、さらに魅力ある就業支援策を早急に打ち出すべきであると考えるが、どうか。

(矢田市長)
平成19年6月1日現在、市民病院では、女性の正規医師が21名勤務しており、全体の12.1%を占めている。一方で、後期研修医については28.2%、臨床研修医については25.0%が女性医師で占められているという状況であり、若年層では女性医師の割合が高くなっているということで、これは全国的な傾向でもある。
市民病院としても、今後医師不足を生じさせないために、また、女性患者などに対するよりきめ細やかな対応が求められているなかで、そういった診療に対する対応ということも含めて女性医師の確保対策は不可欠であると考えている。
女性医師の勤務環境の改善については、ご指摘のとおり、院内保育所の利用提供を始め、出産・育児にかかる宿直免除などの対応を行ってきたが、今年度は、先進的な取り組みを進めている病院への視察・調査も行っており、女性医師にとって働きやすい環境を整備するために、今後とも、院内保育所の機能拡充などによる「子育ての支援」をするとか、あるいは夜間勤務の免除やパートタイム勤務などの体制の整備による「ワークシェア」、また、育児などで一時的に臨床の場を離れた女性医師が復職しやすいようなプログラムの整備による「復職支援」の3つの視点を基軸とした対応が必要であると認識している。
今後の取り組みとしては、まずアンケートなどにより女性医師の生の声を聞き、働きやすい職場環境には何が不足しているのか、そういう内容をじかに聞くことで正確性を図っていきたいと考えている。速やかな改善を図っていけるように努力してまいりたい。

(再質問)
  本当に前向きな答弁をいただき、ありがとうございます。女性医師の確保について、退職後の再就職を促すような再教育プログラムの整備や、復帰後の多様な勤務形態を可能にするなど、総合的な取り組みをお願いしたい。

(矢田市長)
特に、出産・育児後の女性医師の立場から考えたときに、どういった勤務時間、あるいは勤務形態が望ましいかということをよく詰めなければいけないと思っている。それと同時に、臨床の場から既に離れた医師に復帰してもらえるような状況にしていくため、先ほど申し上げたことを合わせて考えていく必要があると考えており、アンケート等を通して、そういった点について進めていきたいと考えている。

2 マタニティマークの普及促進を!
 マタニティマークとは,妊産婦が交通機関等を利用する際に身に付け,周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするものである。さらに,公共施設等でもポスター等の掲示によって,妊産婦に優しい環境づくりを推進するものと言われている。
妊娠初期においては外見からの判断が困難であるために,優先座席が利用できない,また,受動喫煙により胎児に悪影響が及ぶ等,多くの妊産婦が不安に感じている。経済的負担軽減のみならず,肉体的,精神的負担の軽減も欠かせないという観点から,妊産婦の安全性と快適さを確保するため,マタニティマークの普及,推進が必要と考える。
昨年3月に全国統一マークが決定し,本年度の国の予算も計上され,他都市や主要鉄道会社においても啓発活動がなされているが,本市においてはほとんど見かけられないため,早急に公共交通機関におけるマークの周知や企業等への協力要請などを積極的に行うべきであると考える。妊産婦に対する配慮も,ユニバーサルデザインの観点からは当然の施策であり,マタニティマークもその一つであるが,市長の見解を伺いたい。


(矢田市長)
率直に申し上げて,神戸市の取り組みは遅れている。神戸市がユニバーサルデザインのまちづくりに取り組んでいるという観点からも,平成18年3月に国において決定され,市町村に対してもマークの普及・啓発に向けた取り組みの要請があったことへの対応が遅れていることについて,大変申し訳なく思っている。
マタニティマークの普及・啓発の重要性は十分に認識しているところであり,交通機関等へ協力を求めていくほか,市のホームページや広報紙などを通じ,広く企業や市民に対し,主旨の啓発に努めるとともに,母子健康手帳交付時に,マタニティマークが印刷されたキーホルダーを配布することなど,9月を目途に実施したい。

(再質問)
 国際性豊かな都市として,神戸市独自のマタニティマークの配布や掲示についても工夫をしていただきたい。

(矢田市長)
全国共通のマークであるので,より多くの方に理解してもらうことが重要だと考えている。神戸市の場合は113カ国・地域の外国籍の方がいるので,神戸市独自の取り組みとして,啓発ポスターのみならず,各施設,交通機関等においても外国語表記を併用していただくように要請していきたいと考えている。

(要望)
妊産婦が尊重され,保護されるような社会環境整備を積極的に推進していくため,妊婦健診料の無料化についても,県や関係機関と協調し,拡大して取り組んでいただきたい。


3 特別支援教育への支援体制の整備を!
先日、ある小学校の特別支援学級を参観させていただきました。そこでは、種々の障害を持つ子ども達が学習しておりました。その中のある児童は先生や他の児童達とのコミュニケーションも難しく、自分で排便の始末もできないため、先生方もその対応に追われることが多く、大変奮闘されておりました。このように特別支援学校だけでなく、小・中学校の通常の学級や特別支援学級にも障害が重度であったり、重複であったりする児童・生徒が少なくありません。また、障害も多様化しております。
本年4月より学校教育法等の一部を改正する法令が施行されており、「小・中学校においては学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)等を含む障害のある児童・生徒に対して適切な教育を行う」と規定されています。事例の小学校のように悪戦苦闘する毎日の教育活動を人的に支援していかないと、先生が疲れ、子どもたちへの関りが手薄になり、教育効果も期待できません。
現在、人的な支援では、補助教員としてのスクールアシスタント、教育系大学の学生、大学院生等のLD等への教員補助者の他、介助のボランティアが配置されています。配置された学校では大変喜ばれており、効果も上がっていると伺っております。しかしながら、人的な支援を必要としている学校には十分配置していないという声もあがっております。
改正法令の「障害のある児童・生徒等に対して適切な教育を行う」ためにも、スクールアシスタントや教員補助者、介助ボランティアを必要とする学校には、確実に配属されるべきです。
そのためには、これまでの大学生、大学院生のほか、新たに退職教職員や介護経験のある地域の方々を含め、市民からの支援を拡大し、教員補助者や介助ボランティアとして動員するべきだと考えます。
また、併せて、これらの方々への適切な研修を定期的に行うことも必要であると考えますがご見解を伺います。
 
(小川教育長)
小・中学校への教員配置は、定数法等国・県の基準が定められている。通常の学級、または特別支援学級においても、それぞれの基準に基づき教員を配置している。
特別支援学級の1学級の児童生徒数は8人となっている。神戸市においては1学級平均2.8人だが、1学級が平均5人6人となっている学校もある。教員配置に関しては、児童生徒の障害の状況等を考慮した教員の加配はされておらず、基準どおりの配置が行われている状況である。
小・中学校では、特別支援教育の推進のため、校内委員会の設置や、特別支援教育コーディネーター指名などを中心に、全教職員によって支援をすすめていく体制づくりに取り組み、児童生徒の障害の状況等に関する全教職員の共通理解や特別な支援を必要とする児童生徒への支援を行い、子どもの状況に応じたきめ細かな対応を行っている。
教育委員会では肢体不自由児を対象に、車いすや食事の介助等を行う介助ボランティアの配置をすすめている。さらに、教員補助者の配置を近隣の大学との連携のもと平成14年度より実施し、LD等の児童生徒への学習補助を行ってもらっている。加えて、教員免許を有するスクールアシスタントを平成18年度より小学校に配置している。また、子どもの状況に応じて、地域住民や学生の協力を得ながら支援の充実をすすめている学校もある。
児童生徒一人一人に応じた教育的支援の更なる充実が求められるなか、今後とも、教員の専門性の向上や校内体制の強化、支援制度の充実に努めていきたい。併せて、国・県に対しては、特別支援学級の増設、加配教員の配置について要望を行っており、更なる支援体制の充実に向けての要望を続けていきたい。
ご指摘のあった退職教員や介護経験のある地域の方々などからの支援の拡大について、一人一人の子どもの状況に応じた支援の在り方を検討する必要があるが、今後、研究をすすめながら、支援の充実を図っていきたい。
 また、市民による支援が効果的にすすめられるためには、ご指摘のとおり、活動の内容に応じて市民にも研修を受けていただくことが望まれる。このため、特別支援教育のためのわかりやすい支援活動ハンドブックを作成し、活動いただく学校における研修を推進していきたい。

(再質問)
特別支援教育の支援体制については、多くの学校が必要な人材の不足に困っている。教育委員会を中心に人材確保について努力することはもとより、介護・福祉の分野で活躍する人々に幅広く声をかけていただく必要があると考えるがどうか。
 
(小川教育長)
特別支援教育の支援体制につきましては、学校では地域の方々や大学等に協力いただくとともに、各区の社会福祉協議会が運営するボランティアセンターからの紹介を受けながら、人的確保を図っているところである。ボランティアセンターでは、学校で活動するスクールボランティアの養成講座を開催しているところもあり、教育委員会の指導主事を講師として派遣することなどで、ボランティアセンターとの連携をすすめ、ボランティアセンターはもとより福祉部局とのより一層の連携強化をすすめていきたい。